「内部から腐る桃」

 madrayさんのブログで久しぶりに読んだ茨木のり子さんの詩集を読んでいて、ちょぃと感動しました。先週からブログタイトルを変えた私の心境とオーバーラップするところがあり、紹介したいとおもいます。1954年に書かれた詩ということですが、詩人のことばというのはすごいですね。半世紀のときを過ぎてもまったく色あせることなく、ぐさりと人の心を捉える。感嘆しました。


  内部からくさる桃    茨木のり子

   単調なくらしに耐えること
   雨だれのように単調な・・・

   恋人どうしののキスを
   こころして成熟させること
   一生賭けても食べ飽きない
   おいしい南の果実のように

   禿鷹の闘争心を見えないものに挑むこと
   つねにつねにしりもちをつきながら

   ひとびとは
   怒りの火薬を湿らせてはならない
   まことに自己の名において立つ日のために

   ひとびとは盗まなければないない
   恒星と恒星の間に光る友情の秘伝を

   ひとびとは思索しなければならない
   山師のように執拗に
   <埋没されてあるもの>を
   ひとりにだけふさわしく用意された
   <生の意味>を

   それらはたぶん
   おそろしいものを含んでいるだろう
   酩酊の銃を取るよりはるかに!

   耐えきれず人は攫む
   贋金をつかむように
   むなしく流通するものを攫む

   内部からいつもくさってくる桃、平和

   日々に失格し
   日々に脱落する悪たれによって
   世界は
   破壊の夢にさらされてやまない







   
   



  
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by the-third-blog | 2006-04-15 23:31 | エンドレスな日常