久々の読書『手紙』

 昨年映画化された『手紙』という小説。もともとは毎日新聞に連載されたものらしい。前から読もうとおもいながらも、相方が知り合いに貸してしまったため、なかなか読めませんでした。ご存知のかたも多いと思うのですが、この小説は加害者(強盗殺人をした兄をもつ弟の物語)の兄をもつ弟を描いたものです。事件に対して、加害者でも被害者でもない第三者は、通常被害者に対して同情し、加害者を憎み排除するように無意識になっているような気がします。被害者サイドに自己同一化するのと、加害者サイドに自己同一化するのとでは、前者の方が意外と簡単なのかもしれません。その点において、この小説は加害者とその弟を取り巻く世界を丁寧に描いていて、服役中の兄との関係に苦しむ弟の人生を高校在学中から、就職・大学進学・ロックバンドでデビュー・恋愛・就職・結婚・家族・子育てまでの10年くらいの間に出会う、様々な出来事とともに描いていて、加害者の弟の人生というものにグイグイと引き込まれるように読みすすんでしまいました。私自身、次男ということもあるのでしょうか、もし自分がこの立場だったら・・・。

 昨今のニュースでは殺人事件も珍しくありませんが、ニュースの向こう側ではこの小説の主人公のような人生を背負う人が、毎日どこかで生み出されているということになるのでしょう。久しぶりに時間を忘れて読んでしまった小説です。
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by the-third-blog | 2007-01-24 23:00 | エンドレスな日常